
ジョナサン・カウエットがiMovieで長編ドキュメンタリー「ターネション」を制作したという話題はまだ記憶に新しい。確かにここ数年、テクノロジーの発達で“映像”という分野は間違いなく身近なものになってきた。先日紹介したワンドットゼロやレスフェストといった映画祭は、世界中から集めた最新の作品を見せてくれているし、今どきはクリエイターじゃなくてもミシェル・ゴンドリーやクリス・カニンガムのミュージックビデオを一度くらい目にしたことはあるに違いない。そんな中、映像をさらに身近な存在にさせているのが、現地価格5ポンド(約1000円!)でミュージックビデオやレアなインタビューを紹介するイギリス発のDVDマガジン「スペシャルテン」だ。
作:チエミ

英ノッティンガム出身のマーカス・ブラックと、ミラノ生まれのファビオ・セバスチャネリが“思いつき”で「スペシャルテン」をスタートしたのは、かれこれ3年前。当時は、まだ“スペシャルな10曲”を収めたコンピレーション・アルバムだったが、テクノロジーの進化と共に4号目にしてCDからCD-ROMへ、そして7号目にしてCD-ROMからDVDへとその姿を変えていった。

この号から、A4サイズの見開きのフォルダーに、ほとんど文字のない24ページのブックレット、限定プリント、そして一枚のDVDというフォーマットが定着した。デザインは毎回違うクリエイターが担当しているというのも興味深く、記念すべきDVD化第一弾となったISSUE7のカバーは、プライマル・スクリームの最新アルバムのジャケットを手がけたルパート・スミスが担当。また、DVDのインターフェイスはTRUNK、そして限定プリントは日本でも人気の高いピート・ファウラーが手がけている。

メインとなるDVDには、インタビュー、ショートフィルム、ドキュメンタリーなどと共に、必ず“10曲のミュージック・ビデオ”が収録されている。そう、以前は“スペシャルな10曲”だったものが、DVDになってからは“スペシャルな10ミュージックビデオ”に変わったのだ。
「スタート時に収録していた10曲のトラックがミュージック・ビデオへと変わったのは、映像が日常生活に欠かせないものになったと考えたから。最近の子ならステレオだけじゃなく、必ずなんらかの映像機器を所有しているだろう?音と映像はもはや切り離せない関係なんだよ。」(マーカス・ブラック)

イギリス国内で発売されたばかりの最新号ISSUE15までに収録されているミュージックビデオは、WARPの奇才ジェイミー・リデル、ワンドットゼロでラストを飾ったコールダー、その他LCDサウンドシステム、トム・ヴェック、レモンジェリー、DJフォーマットなど、映像好きの心をくすぐるラインナップだ。

また、インタビューのラインナップも他では見られない貴重なものばかり。ミュージシャン仲間からも絶賛されるパンク・デュオザ・キルズや、映画「モーヴァン」で主役を演じたサマンサ・モートン、パンク界の伝説の男ドン・レッツ、その他フォーテット、キャットパワー、トレヴァー・ジャクソンなどが過去に登場している。


これらの作品の中で、私が最も気に入っているのはISSUE9に収録されているドキュメンタリー・フィルム「タペストリー・ゴーズ・ウエスト」。ジミ・ヘンドリックスの映画「レインボー・ブリッジ」に影響を受けたロンドンのクラブ、タペストリーのオーナーが、所有していたレアなギターコレクションを売りさばいたお金で夢のフェスティバルを開催。そこに集まる人々は処刑台の周りでオモチャのピストルを振り回し、カントリー&ウエスタンに酔いしれる。一見ただのカウボーイのお祭りのようだけど、気づけばそこはウェールズ…。ウェールズにカウボーイ??頭の中は混乱しつつも、いつの間にか目は映像に釘付け…。
それにしても物価の高いイギリスで、5ポンドという破格な値段を維持するのには大変な苦労があるに違いない。
「この価格をキープするためには、かなり多くの人たちのサポートを受けているし、もちろん僕達自身もものすごく苦労している。でもこの価格にはものすごくこだわりを持っているし、今後もなんとしてもキープしていくつもりだよ。」(ファビオ・セバスチャネリ)

まもなく日本でも入手可能となる最新号ISSUE15は、現在ウェブサイトでトレイラーを公開中。(興味のある人はコチラをクリック)また、今月8日より日本でも公開されている「ローズ・イン・タイドランド」のテリー・ギリアム監督が最新号の限定プリントを担当し、21日にロンドン市内で行われるスペシャルテンのシークレット・イベントにゲスト出演するという情報も。日本への本格的な上陸が待ち遠しい!
3 コメント
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Posted by: air multiplier @ 4月21日2012年