≒天明屋尚:PUNKなSAMURAI魂!

2006年6月14日 カテゴリー: イラストレーション, グラフィック, 国内

≒天明屋尚:PUNKなSAMURAI魂!

ドキュメンタリー映画「≒天明屋尚」より

VIVAフットボール!侍ブルーを着た日本代表選手達がドイツで熱い戦いをくりひろげるFIFAワールドカップ。参加各国を代表するアーティストが描くFIFAオフィシャルポスター、今回日本代表に選ばれたのは、ネオ日本画家:天明屋尚(てんみょうや・ひさし)。確かな技術を持ちながら、伝統的な日本画の岩絵の具ではなくアクリル絵の具で作品を描きあげる、いわば日本画界の異端児。時を同じくして、そんな天明屋さんにスポットをあてたドキュメンタリーフィルム、「≒天明屋尚」(ニアイコールてんみょうやひさし)も公開されている。今回は、FIFAアートとして天明屋尚さん、そして「≒天明屋尚」の監督・石崎豪(いしざき・ごう)さんの侍二人を、インタビュー!

作:西田香織

Tenmyouya Hisashi,Football,2004,Japan (C)2005 FIFA

天明屋さん、今回のFIFAのポスターでもそうですが、日本の伝統的な絵画に見えるのに、鎧兜の武将がサッカーをしていたり、大仏にグラフィティがしてあったり…。天明屋さんは、いつも時代もカルチャーも越えた、大胆なミックスをされますね!

そうですね。1枚の絵にすると確かに驚きがあるかもしれませんが、大仏も拝めばグラフィティも描く、これが今の日本人なんです。日本の伝統美を継承しながら、現代の事柄を融合したもの、僕はこれを「ネオ日本画」と呼んでいます。画材にしても、本来日本画は岩絵の具を使いますが、僕はアクリル絵の具で描くし、トレーシングペーパーに描いたりもします。実験的な事をやる、僕は「ネオ日本画家」です。

現代日本若衆絵図 鎌倉 九人の侍(2001)

現代日本若衆絵図 パラパラ(大日本帝国)対ブレイクダンス(亜米利加)(2001)

もともとはレコード会社でアートディレクターをされていたそうですが、なぜ日本画家になろうと思ったんですか?

デザインの仕事は基本的にクライアントの企業イメージが前提にあるので、その枠の中でしか遊べなくて、だんだんその枠を越えて、自分から発信したくなったんです。日本画を選んだのは、もともと子供の頃に通っていたお絵描き教室が日本画を教えていたので、それがきっかけです。今は日本画を描いていますが、デザインの仕事の経験も確実にプラスになっていると思います。


武闘派列伝 刺青マンの闘い(1996)

悪名路上群像図 渋谷 カラーギャング編(2001)

神風 傾くシリーズ(2003)

天明屋さんの作品は近くで見ると、グラデーション部分も1本1本筆で線を重ねて濃淡を描きだしているんですよね。しかも背景は金箔を貼っていて。1作品仕上げるのに、いったいどのくらいの時間がかかるんでしょうか。想像するだけで気が遠くなりそうですが…。

例えばこの暴走族の改造バイクや特攻服、トラック野郎のデコトラをモチーフにした「神風」なんかは、長辺3メートル近くあってデカイし、ゆうに3ヶ月かかりました。毎日10時間以上描き続けて。これもバックは金箔を敷きつめたものですが、金箔を貼るのだけなら1日もあれば終わるんですよ。

新形百物語 鳥天狗退治ノ図(2003)

天明屋さんの作品には、暗喩(メタファー)が隠されているって聞きました。例えばどんな事ですか?

上の「新形百物語 鳥天狗退治ノ図」という作品は、武士がからす天狗と戦う図が描かれていますが、これは実は日本とアメリカの戦いを描いたものです。江戸時代の浮世絵にも見られるモチーフですが、当時からす天狗や赤鬼は西洋人を象徴して描かれることが多かった。まわりに飛んでいるモミジの葉は、星条旗の星です。このモミジは僕が考えて描いたメタファーですが、僕の作品には多々こういった隠れた意味を持たせています。ただ、それが分からなくても楽しめる、分かればさらに面白い。こういった遊びのある絵が日本には昔からあるんです。

Japanese Spirit 十三号機(2000)

「日本」にこだわりますね。

作品は国内だけでなく、海外も意識して考えています。だって、どうせだったら日本国内だけじゃなく、もっともっとたくさんの人に見てもらいたいじゃないですか。次の作品も、繊細、かつ大胆な作品を考えています。タイトルは仮ですが、「MADE IN JAPAN」!!

映画のひとコマ:アトリエにて製作中の天明屋さん

ドキュメンタリーフィルム『≒天明屋尚』について

FIFAワールドカップが白熱する中、「もうひとりの日本代表:天明屋尚」として天明屋さんについてのドキュメンタリーフィルムが公開されている。国内外で高い評価を受けつつも、常にアウトローでパンクな作品で戦いを挑み続ける、アート界の戦う絵師、天明屋氏を約半年に渡り密着取材した、がちんこドキュメンタリー!その映画、『≒天明屋尚』の監督・石崎豪さんにお話をきいた。


ミリ単位の作業!

金箔の上に絵を描く

今回、天明屋さんにスポットをあててドキュメンタリーを作られたきっかけは何ですか?

伝統的な日本画の中に、今の日本のストリートを強く打ち出した作品に衝撃を受けたんです。ストリート系の雑誌BURSTや、GET ON等での連載ですでに話題となっていましたが、おどろいた事に、日本画だというのに一番流行に敏感な中学・高校生世代の熱狂的なファンが多い。それまでの自分の作品のイメージソースは主にNYでしたが、ちょうどその頃、海外の追随ではなく、日本をテーマにした作品を作っていこうと探していたんです。早速天明屋さんの画集を買いました。

石崎豪 監督

監督からみた、天明屋さんの魅力とは、何ですか?

すごくしっかりとした伝統的日本画の技術を持ちながら、「今の感覚」を理解する、その絶妙なバランスにあると思います。日本のグラフィックデザインの第一人者であった亀倉雄策さんの言葉で「日本人がみて一流の作品は、欧米人がみても一流の価値をもつ作品でないといけない」というものがありましたが、天明屋さんには、まさにその価値を直感しました。

監督、次へ向けての構想は?

今後も、“クール”や“ドープ”等ではなく、「粋」で「洒落た」ニッポンを現代のストリート感覚で発表していきたいと思います。楽しみにしててくださいね。

天明屋さん、石崎さん、ありがとうございました!今後の世界に向けた侍カルチャーの発信、楽しみにしてます!

【お知らせ】ドキュメンタリーフィルム「≒天明屋尚」は、渋谷シネマライズエックスにて連日21:20~レイトショー上映中。

1 コメント

  1. ドイツ・ハイデルベルグの部屋に「鎌倉 九人の侍」を飾りました。遊びに来るドイツ人も感動してます。

    Posted by: 閑 @ 5月13日2008年

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