サッカーボールデザインの世界

2006年6月12日 カテゴリー: イベント/展示会, インターナショナル, グラフィック, ファッション, プロダクト, 特集

サッカーボールデザインの世界

書籍Play Loud!より、JuliaPfaller.de製作のイラスト、「soccer ball universe」 © Die Gestalten

いよいよワールドカップ期間に突入して、世界中の数え切れない人が同じ時間の同じ映像に熱中する時期がやってまいりました!というわけで、今回は実際の主役である「ボール」に注目したいと思います!PingMagでは、FIFAの公式決勝ボールからブランドボール、DIYボール、サッカーボール画像にサッカー料理、それになんとお揃いのブラジャーまで、様々なボールの側面を紹介しちゃいます。

作:ウレシカ
訳:ナツミ

1. 公式ボール

公式ボールとは言っても、特定の1個を指すわけではない。ワールドカップのみに限定しても、技術的に改良された、より精度の高い、プレイ中の重量変動を可能な限り抑えた新しいボールが前回のものに取って代わり、プロ・サッカーボールの最新の流行を披露する舞台となる。

ウルグアイ(1930)、スイス(1954)とスウェーデン(1958)でのワールドカップ決勝ボール、写真:Big Magazineより、トビー・マクファーラン・ポンド

西ドイツ(1974)とアルゼンチン(1978)でのワールドカップ決勝ボール、写真:Big Magazineより、トビー・マクファーラン・ポンド

1855年にチャールズ・グッドイヤーが初のゴムボール(どちらかと言うとバスケットボールに近い代物だが)を発明して以来、「世界最高の舞台」で使われるボールのデザインや改良は止まることを知らず突き進んで来た。

もしサッカーボールの絵を描けと言われたら、殆どの人がパネル32枚からなる一般的な白黒のボール(白黒の部分を間違わずにちゃんとしたサッカーボールを描くって結構難しいのだけれど。知ってた?)を思い浮かべると思う。実は、この色の組み合わせは白黒テレビでの放送のために(ボールがよく見えるように)選ばれたものだ。最新技術の固まりである近年のワールドカップ公式決勝ボールなどは今やまったく違う柄になっているものの、未だに昔ながらの色分けを使い続けるデザインも少なくない。


Fevernova – 2002年ワールドカップ決勝ボール

Teamgeist – 新しい14枚パネルシェイプの2006年ワールドカップ決勝ボール

今年の公式ボールの名称は「Teamgeist」(チームスピリットを意味する造語)で、FIFAによるサッカーボールとはどうあるべきかの厳しい基準をクリアしたものだ。新しく開発された14枚パネルシェイプは、通常の亀甲柄の32枚パネルと比べて躍動感溢れるデザインとなっている。

1970年以降の全てのワールドカップの決勝ボールAdidas製だということはご存知だろうか?少なくとも私は、こんなに国際的な事柄が、ドイツのスポーツ製品メーカー一社の手のみに託されているということにびっくり。

2. その他のデザイン

サッカーは、世界最高峰の選手たちだけではなく、みんなのスポーツだ。残念なことに、1996年のヨーロッパ選手権中に行われた児童就労反対運動がきっかけとなってアトランタ協定が結ばれるまでは、手作業で製造されたサッカーボールの80%近くがパキスタン(主にシアルコット市)の児童労働の結果だった。この協定の内容は、サッカーボールメーカーにその製造過程において一切の児童就労を使わないことを保証させるものだ。世界中の子供達がこのゲームを楽しむきっかけを与えられるように、ボールの製造過程(と他のものも…)が向上していることを切に祈りたい。

インドネシア、ジャカルタの摩りきれたサッカーボールで遊ぶ少年

ここを読んでいる方の中にもピカピカの新品ボールを買う予定のラッキーな人が居ると思うけど、PingMagでは様々なメーカーによる多種多様なデザインの中から、スポーティーなものやおしゃれなもの、そして楽しいものをピックアップしてみました!


最高のボールは勿論サイン入り。Its already signed 4Uで購入できる

WilsonのOptima Soccer Ball - とってもおしゃれでスポーティー!

Baden - 黒炎のサッカーボール(ここのデザインの種類は凄い)

Baden - 絞り染めサッカーボール

Baden – 赤いハワイアンボール

Puma Paintura Project - 書籍「Play Loud!」より、レジー・ペドロのデザイン © Die Gestalten

おしゃれなストリートウェア/スポーツ用品メーカーのPumaなどには、ワールドカップはカッコイイと評判のデザイナーを起用して32パネルボールの新しいデザインを開拓させ、自社のデザイン重視製品を押し出す絶好のチャンスだ。

Puma Paintura Project -書籍「Play Loud!」より、Vårのデザイン © Die Gestalten

Kick my head!Puma Paintura Project - 書籍「Play Loud!」より、小澄源太のデザイン © Die Gestalten

Me too!Puma Paintura Project -書籍「Play Loud!」より、コスタス・セレメティスのデザイン © Die Gestalten

Puma Paintura Projectの一環としてデザインされたREASのとっても可愛い作品。書籍Play Loud!より © Die Gestalten

…そして-ちょっと別のアングルから、更にキュートなアンパンマンボール!

3. みんなのサッカー

一部の人間にとっては、サッカーとはその人気を使って社会問題や環境問題を訴える為の、文字通り最高の舞台だ。日本でのそんな企画の一つが、 “ピースボール”ピースボート・プロジェクトと引っ掛けて) - Think the Earthによるプロジェクトの一つだ。ピースボール・プロジェクトの活動には、参加者に自宅や学校にある古いサッカーボールを回収してもらってThink the Earthに送ってもらうことがある。こうして集められたボールは、ピースボートが航海する中で世界中の子供達に届けられる。このプロジェクトのもう一つの活動は、オリジナルのピースボール・パッケージのデザイン。このパッケージは、東洋紡が開発した地球儀模様のサッカーボールと、国際的なフォトジャーナリスト集団マグナム・フォトによる、サッカーボールで遊ぶ世界中の子供達の写真葉書をセットにしたもの。2002年には、ピースボート支援の為に62,360円を集めることに成功した。

ピースボール - 世界中の子供達にサッカーボールを届けるプロジェクト

それ以外にも、サッカーボールを販売してFair TradeLohasyなどの団体を紹介したり、ベネズエラのデザイナーTotunaによる再生材で作られたサッカーボールを推奨する、もっと一般的なプロジェクトもある。


Fair Tradeのサッカーボール

再生材で作られたサッカーボール

ちょっと珍しい、地元社会と密接な関係にあるものでは、英国のアシュボーンでシュローヴタイド(復活祭前の懺悔節)に遭遇した一風変わったサッカーがある。このイギリスの田舎町では、1年に1度、町を二つのチームに分け、町の両端にゴールを設けて、2日間かけてゲームを楽しむ風習がある。ルールはと言えば、市民全員がお互いに競い合うこと!ってくらい。その光景は爆笑ものだけれど、毎年のボールは素晴らしく美しいものが使われている。


アシュボーンのシュローヴタイド・フットボールに使用される球

市長が選手である市民にボールをスローインしてゲームが開始される

4. DIYサッカーボール

予算がきつかったり、お手製のボールを作りたいという方々は、テープで接ぎ合わせる詰め物でいってみよう。Die Gestaltenの新しいPlay Loud!本には、Anónimo Studioによる絵で、異なるサイズの飲み物パック2つからサッカーボールを作る方法が載っている。.

Anónimo Studioによる「飲み物パックで自作ボールを作ってみよう」、詳細

一部のデザイナーにはこのアイディアを更に一歩突き詰めて、本物のサッカーテープなるものを作った人まで居る。スポーツ新聞を丸めて、テープで周りをとめちゃえば出来上がり!マルティ・ギセKesselskramerによる作品例がこちら。

マルティ・ギセのサッカーボールテープ

Kesselskramer DOキャンペーン、サッカーテープセット:サッカーボールテープ、沸き上がる観衆とサイドラインテープ

Kesselskramer DOキャンペーン:選手、ボールとピッチ

お手頃なお値段のボールなら、KesselskramerのHet Paroolキャンペーンが100%新聞紙で出来たボールをたったの25グルデンで提供している。

Het Paroolキャンペーンボール

5. サッカーボール画像

今年は、あらゆる分野のデザイナーが極限に挑む勢いで、サッカーへのインスピレーションの最後の一滴を振り絞ったような感じだ。今年ほど多くのかっこいいサッカーデザインに溢れている年はちょっと記憶にない(けど、デザイナーがかっこよすぎてサッカーに全く興味を示さなかった時代は憶えてる!方向転換のきっかけは何だったのかしらね?)。

ワールドカップTシャツの興味深いコンセプトと言えば、日本のクリエイティブ・プロデューサー糸井重里事務所のものだ。去年、糸井氏は日本のデザイン現場の最高峰のデザイナー達(佐藤卓, 深澤直人, 青木克憲, 佐藤可士和等々)にTシャツのデザインを依頼した。読者の方々から見れば、「これ以上Tシャツなんていらないだろう」みたいな感じかもしれないが、色々な人達が一同に集ってワイワイやっただけに、企画はとにかくすごいことになって日本中のデザインメディアに伝播した。今年は、そのT1-ワールドカップ(この大会の名前)の案を更に拡大して、ステファン・サグマイスタークライン・ダイサム・アーキテクツエリック・シュピーカーマンオーデッド・エーザハーマンズトラ, KingaポールデザインPhunkstudioウスマン・ハックなどの様々な分野の国際的なデザイナーを招いてTシャツをデザインして貰った。素敵!こんなに不思議な組み合わせのTシャツが一同に会しているのは初めて。デザイナーがどこからこんなアイディアを得てくるのか聞いてみたくなっちゃう…。

素晴らしいアーティストが集うもう一つのデザイン・コンペティションがFIFAワールドカップ・ポスター展覧会だ。サッカーボールが主題なだけに、こちらが私のお気に入りのポスター2枚。


Luo BrothersのFIFAワールドカップ・ポスター展覧会作品

天明屋尚のFIFAワールドカップ・ポスター展覧会作品

これでもまだサッカー画像が足りない!という方にはDie Gestalten1巻どころではなく、2巻でも止まらず、3巻もの巷に溢れるサッカーデザインを出版しています!一言で言って凄い!

6. サッカーボール広告

サッカーボールの広告は勿論沢山あるけれど(ワールドカップ中にはもっと出てくるだろうし)、ここでは素材の使い方に注目して2つだけピックアップしてみた。1つ目は、クライン・ダイサム・アーキテクツが前回の東京ワールドカップ中に、建設中の表参道ヒルズの外壁を芝生で覆ったもの。通行人が立ち止まって触ってみて、本物の芝生が垂直のサッカー場を作っていることに気付き驚いていたのが記憶に新しい。

クライン・ダイサムがAdidasに依頼されて作った芝生の外壁

ドイツのPostbankは、サッカー場全体を黄色のPostbankサッカーボールで埋め尽くし、ボール数の世界新記録を打ち立てた。そのサッカー場の光景を見ると、どうにも飛び込んで遊びたくなるのだけれど、子供時代にIKEAのボールプールで遊びすぎたのかしら…。

Postbankのボール数世界新記録会場にて、フランツ・ベッケンバウアーとオリバー・ビアホフ

7. ファッションとライフスタイル

今やサッカーグッズは天から降ってくるほど…っていうのは冗談で、むしろ台風並みに叩きつけてくるほどに溢れている。そんなバカげたものの中では、ルイ・ヴィトンのサッカーボール、サッカー柄のアルミ合金のホイール、サッカーボールコンタクトレンズ、素晴らしく高価且つ俗っぽいサッカーボール型の金のイヤリング、それにティーンエイジャー向けのサッカーボールビーンバッグなどが本当に個性的なデザインだ。

NikePumaAdidasなどの若向けのファッション系ブランドが現在Nike FootballPuma FootballAdidas Footballやらに転向している傍らで、PicardやHugo Bossなどの高級ブランド業界も同様にサッカーファッションに進出してきている。その中で最もサッカーファッションに力を入れているのがダーク・ビッケンバーグだ。彼はInter Mailandチームの公式イブニングウェアを一手に手がけていたが、その後小さなサッカークラブ - FC Fossombroneを買収して、高級サッカーファッションを一般に広めるという今の使命に燃えている(そのお値段を払える人限定にだけど!)。ダーク・ビッケンバーグを知らない人の為に追記するならば、彼のサッカーシューズの種類の豊富さはちょっと凄い(Nikeを震え上がらせていると言われているほどに)。この赤と緑のシューズだけでも100万足売れている。


ダーク・ビッケンバーグの2006年コレクションの一部

トリンプのサッカーボールブラジャー

ここで紹介しようと思った最後のサッカーアイテムは、Triumphが作ったこの素晴らしく可愛いサッカーボールブラジャー。ゴールネットに覆れた草色のカップと、その「ゴール」の中にサッカーボール型のパッドがすっぽり納まるというブラジャーだ。パッドを見せつけるとは、何とも勇ましい…?

サッカーブラジャー姿の女の子が家で待っていてくれるような人なら、これ以上何も望むものはないのだろうけれど、そこまで恵まれていない方々にはこちらの「補欠」アイテムを紹介したい。

まずは、Volker Albus社の「Kick’n Brush」靴磨きで靴を綺麗にして、それからSuzukikeのサッカーボールランプを点ける。


Volker Albus社のKick’n'Brush

Suzukikeのサッカーボールランプ

準備が整ったら着席!(使い古したサッカーボールで作ったカーペットもお忘れなく)

Suzukikeのサッカー椅子とカーペット

ビールも注いで…

Mixkoのビールコースター

…試合観戦中はレッドカードとイエローカードも準備しておこう!


Mixkoのサッカーボール財布

…中にはMixkoのレッドカードとイエローカードが入っている。

8. サッカー菓子

本日のサッカー・フルコースの仕上げに、デザートを召し上がれ!


サッカーボールチョコ

キャンディーが詰められたサッカーマン

読者の方々も同じかは分からないけれど、私が子供だった頃にはアルミで包んだ色鮮やかなチョコボールが溢れていて、サッカーチョコボールは子供時代の置き土産みたいな感じ!こっちのファンキーなキャンディー入りのサッカーマンは、今朝行った渋谷のフード・ショーで出くわしたもの。

近所のパン屋さんにあったサッカーパン

最後のデザートのお薦めは、近所のパン屋さんのサッカーメロンパン!とっても美味しいの!

良いワールドカップを!!

6 コメント

  1. どうでも良い事かもしれないのですが、
    ドラえもんボールじゃなくてアンパンマンボールだと思います。
    えへへ。

    Posted by: ***YUJI*** @ 6月13日2006年

  2. YUJIさん、ご指摘ありがとうございます!
    修正しておきました。

    Posted by: chiemi @ 6月13日2006年

  3. へーーー!いろんなのあるんですね。
    記事の長さにびっくりしました(笑)

    Posted by: miya @ 6月14日2006年

  4. いいですね

    Posted by: 匿名 @ 1月30日2008年

  5. This is a really great blog. Thx to the auther

    Posted by: Denver Molyneux @ 4月20日2011年

  6. サッカーボールデザインの世界 good post1012

    Posted by: air multiplier @ 4月21日2012年

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