ボローニャで出版社探し

2006年5月9日 カテゴリー: イベント/展示会, インターナショナル, グラフィック

ボローニャで出版社探し

今年で43回目を迎えたイタリア・ボローニャの「ボローニャ児童図書展」は、児童書の出版社とイラストレーターのための国際的な展示会。そこで、児童書が大好きなPingmagの新メンバーが、イタリアの美しい街・ボローニャより、この展覧会をレポート!世界中のブック・デザイン、イラストレーター達のアイディア交換、また自分に一番合ったエディターの見つけ方などを紹介します。

作:マヤリーナ
訳:チエミ

近年、児童書は芸術的な表現方法の刺激的なメディアとして、著しい成長を遂げている。1964年より毎年春に行われるボローニャのこの児童図書展には、出版社、編集者、イラストレーター、絵本作家、リサーチャー、学生、司書などを含めた世界中の児童書ファンがこの4日間の為に集い、新プロジェクトの打ち合わせ、新しい才能の発掘などを行っている。

ブースでは大手出版社だけでなく、小規模の出版社も出展している。ブースは国ごとに分かれ、その国をイメージさせる色がメインに使用されている。

児童書のイラストレーターになるための登竜門として、ボローニャを訪れるアーティスト達の数は、年々増え続けているようだ。私がこのボローニャ児童図書展を訪れるのは、今回で3回目。世の中にこんなにも沢山の出版社と児童書のアーティスト達がいるのか、と来る度に驚かされている。

台湾のブースは真っ赤!並べられた本もユニークなものばかりだった。

何千にも及ぶ本棚には、各出版社の児童書が並べられている。

フランスの小さな出版社の児童書が並ぶ棚。

世界中の児童書がズラリと並べられているのを目にするのは、本当に感激。また、“児童書”の捉えが国によって異なっているのも面白い。

フランスの出版社にとっては、コミックや漫画も“児童書”とみなされているようだ。

展示されている児童書は、自由に手に取って見ることが可能。ほとんどの書籍は、児童書鑑定家にとっても初めて目にするものばかり。彼らも普段、自分の国以外の児童書を目にする機会はめったにない。

日本の「ブロンズ出版」のブースには、沢山の可愛い児童書が並べられていた。

エディツィオーニ・コライニ」は私も気に入っているイタリアの出版社。彼らの「ブルーノ・ムナーリ」は、素晴らしい本!

数えられないほどの児童書が並んでいるというのに、なんとこの展示会では本を購入することができない!でも、自分のお財布の中身を考えると良かったかも……。

本を買うことはできないけれど、その代わり会場内には、持ち帰り可能なチラシやパンフレット、袋やポストカードなどがいっぱい。

私が持ち帰った出版社のパンフレットの数々。

沢山ある児童書の中で、私が夢中になったのは韓国からのもの(今一番注目であること間違いなし!)。あまりにも気に入ったので、何度もブースを行ったり来たりしていると、編集者の方が本をプレゼントしてくれた!感激!!

私のお気に入り、Seok-Jung Yunによる「フォー・ストロークス・アンド・ア・ハーフ」イラストはChangbi出版のYoung-Gyeong Yi 。

毎年ボローニャを訪れる何千人ものアーティスト達は、児童書のイラストレーターになることを夢見ている。そして、この展示会の素晴らしい点は、アマチュアでもプロでも、直接世界中から集まった編集者達に自分の作品を見せることができること!

編集者に自分の作品を見てもらおうと長時間並ぶアーティスト達。彼らは決してあきらめたりしない!

編集者の多くは、一日かけて何百ものポートフォリオを見る。それも全て、明日のスターを見つけるため。

時には自分の作品を今すぐ出版したいという人と出会うこともあるが、そうでない場合は次の機会のための貴重なアドバイスを沢山受けて帰るのだ。


イラストレーター達は大きなポートフォリオを手にかけずり回る。

編集者達は毎日、何百ものポートフォリオを見る。

自分の作品を売り込むもうひとつの方法は、展示会場の入口付近に設置される掲示板に、自分描いたのイラストと連絡先を書いた紙を貼ること。毎年設置されるこの掲示板は、すぐに広告、名刺、ポスターなどで埋め尽くされてしまう。

どの貼り紙もかなりのクオリティの高さ!思わず、何枚か失敬してみたり…

この展示会の目玉は、毎年行われている「ボローニャ・イラストレーター・コンペティション」(児童書のイラストレーションの最も権威のある国際的なコンクール)の受賞作品が展示される「イラストレーター展」。プロ、アマ問わず寄せられた作品は、様々な国から集められた審査員によって審査される。今年は、59カ国2544人からの応募があり、17カ国92人の作品が選ばれた。

さて、何人の日本人アーティストがここで選ばれたでしょう?答えは、92人中の27人!なるほど、日本のアーティストが優秀だと言われるのも不思議ではない。

では、ここで選出されたアーティストの皆さんにちょっとお話を聞いてみよう。まずは、チバ・ミナコさんから。


「イラストレーター展」で受賞作品の前に立つチバ・ミナコさん。

チバ・ミナコさんによる受賞作品。頭からコーヒーを注ぐ「モカ」。

チバさんは、今回初めてコンクールに参加したそう。その作品は、確かに受賞に値する出来映え。彼女が描いた頭からコーヒーを注ぐキャラクター「モカ」、可愛いでしょう!

ムルオカ・シンイチさんは、2年連続の受賞者。

ムルオカ・シンイチさんによる受賞作品。

受賞した作品の前に立つムルオカ・シンイチさん。「イラストレーター展」で。

聞くところによれば、彼の作品は、芸術的過ぎで子供向けではない感じがするため、日本の児童書マーケットには適さないと言われたのだとか。しかし、昨年の受賞後に、ボローニャをかけずり回り、作品に強い興味を持ってくれたベルギーの出版社に出会うことができた。という訳で、現在は出版準備中!

この展示会は、編集者達に自分の才能をアピールする為の機会だけではなく、世界の児童書の情報発信場所にもなっている。

例えば、偶然見つけたイラン人アーティストによるこの作品は、本当に素晴らしい!

イランのアーティスト、モルテザー・ザーヘディによる作品。

残念ながら、彼のオフィシャルサイトを見つけることは出来なかったのだけど、日本で行われた展覧会を発見!

ネダ・アジミによる受賞作品。

もし、ボローニャ児童図書展に興味を持ってくれたなら、先程紹介した「イラストレーター展」が毎年行われている東京の板橋アート・ミュージアムを覗いてみることをオススメ!


最近出版されたばかりの自分の本を持つタナカ・シンさん。

たとえ作品がコンクールで受賞せずとも、展示会に訪れて出版の契約に漕ぎつける幸運な人もいる。タナカ・シンさんは、昨年、台湾の出版社「Grimm Press」と契約を結び、今年初めて自分の作品が出版された。

ボローニャで出会ったアーティストによれば、例え自国の出版社と契約が結ぶことができなくても、この展示会で自分の作品を気に入ってくれる出版社と出会えるチャンスは多いそう。ここに集まる出版社は、常に新しい才能やアイディアを探していてるので、編集者と一対一で話せば、彼らは真剣に作品を見てくれるのだとか。

この展示会で出版の契約に漕ぎつけたアーティスト達からのコメント。

という訳で、もしあなたが児童書のイラストレーターで自分の作品の出版を願っているなら、ぜひボローニャ児童図書展を訪れてみて欲しい。ちなみに、英語が不得意な人でも大丈夫。JBBY(社団法人日本国際児童書評議会)のカウンターが、シャイなあなたをサポートしてくれる。

JBBYのヘルプカウンターでは日本人スタッフが待っている。

ボローニャは才能あふれる若いアーティストにとって素晴らしいスタート地点でもあり、沢山の素敵な出会いに溢れた場所。ぜひインスパイアされてみて下さいね!

それでは、来年お会いしましょう!?

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