
キャップを目深くかぶり、素手でペイントを塗りたくっていく。下書きはゼロ、キャンバスは壁全面、描き終りには必ずビールをぐびっ!「Play Pray Paint」と題して都内各所でペインティング活動をくりひろげ、そのワイルドな画風でYohji Yamamotoとのコラボレートや、パリのL’ECLAIREURでの展示も果たした型破りなペインター、松岡亮 さんにビールを飲みながらお話を聞いた。
インタビュー:西田香織
写真:アヤノ


Play Pray Paint at ROLLUPs in 金沢

手にそのままインクを付ける。
最近、都内ショップやバーなどいたる所の壁に松岡さんの作品を見かけますが、もともと絵を描くようになったきっかけは?
昔から好きで描いていました。高校あたりから旅に出るようになって、毎日スケッチブックに絵日記を描いていました。日本に帰ってくるといつもバーでみんなに絵日記飾って見せながら土産話をしていたんです。それを見た人達が「うちにも飾りたい」とか「これ買いたい!」とかいってくれて、「あ、こうゆう広がり方があるんだ」と思い進み始めました。

Claskaでのパフォーマンス

Claskaでのパフォーマンス
松岡さんがバーやショップで開いている「Play Pray Paint」と題したイベントでは、いつも集まった人々の前で、下書きもなく毎回まったく違った絵を描いていますが、このスタイルは何かにインスパイアされて出来たんですか?
もともとあんまりスタイルとかにはこだわりがありません。「松岡亮スタイル」みたいな画風も特に決めたくなかったんです。人前で描くからパフォーマンス、とかペインティングショー、というわけでもない。ただひたすらに絵を作っていく瞬間を一緒に酒を飲みながらでも感じ楽しんでもらえたらいいなと。ほら、子供が道路にずーーーっと落書きしてる姿とか、大人からするといったい何をもってこんなに真剣に、集中して描いてるんだろう?ってびっくりするでしょ。遊びであるのと同時に、すごくピュアな瞬間だと思う。それを想い「Play Pray Paint」が始まりました。

©Yohji Yamamoto

©Yohji Yamamoto
Yohji Yamamoto (homme) の2004-05秋/冬パリコレクションにも参加していますね。
これはコレクションに出るT-shirtやニットに落し込む為の原画作品を描きました。何年もいろんな場所でライブペインティングをしていた中で、それを見た人が一人、また一人と繋がり、見に来てくれるようになって、そこからYohji Yamamotoという大きな美しさに繋がりました。作品を凄く気にいって頂いて、急遽その年のコレクションに使う事が決まりました。すごくいい経験でした。
映画「smoke」(1995)の脚本でも知られる、ポール・オースターの詩集「壁の文字」(2005年)では、表紙絵も描かれてますね。

個人的にも映画『Smoke』は大好きで、まさかポール・オースターに自分が繋がるとは思ってもみなかった。たまたま行ったパーティーの5次会くらいで会った人がそこの出版社の人だったんです。この装丁ができるまでには、ほぼまる1年かかりました。誰もが採算度外視で情熱を傾けて出来た本。『壁の文字』というタイトルの由来なんですが、彼が極貧時代に紙を買うお金がなくて、壁に指にインクを付けて詩を書いていたんです。書き方もそうだけど、酒飲みな所まで、僕とよく似てると編集の方が思い、今回繋がり制作する事が出来ました。しかも彼の作品には~偶然と必然~みたいな題材が多いし、僕自身も非常に運命を感じずにはいられない作品でした。

東京屋上シリーズ1

東京屋上シリーズ2

東京屋上シリーズ3

東京屋上シリーズ4
話は変わりますが、よくビルの屋上でも絵を描いてるって聞いたんですけど。。。
うん。このシリーズは「東京屋上」って呼んでいます。『東京散歩』かな。晴れた天気の良い日に、よさそうなビルを見つけて勝手に上がって、そこで広々と紙を広げて絵を描く。たまに、見つかることもありますが、その時は「すみません、学校の課題なんです」って言うんです、ビール片手にね(笑)。

カラフルなカッティングシート

窓に炎?

窓に花が咲いたよう!

裏からステンシルした紙を貼った。ステンドグラスみたい。
昨年はベルリンでも活動していたそうですね。
はじまりは、POPKOMMという音楽のイベントがあって、そこで絵を描かないかって誘われて行きました。これに誘ってくれたのは以前旅先のニューヨークで会ったドイツ人の女の子。そのイベントで描いていたら、他にも洋服のショップとかあちこちから声をかけてもらって、いろんな所で描く事が出来ました。昔ビール工場だった所をクラブとかショップとして使ってた建物があって、たまたま空いてた1室を好きに使えって描かせてもくれたんです。

静かなペインティングの時間の後、

静かに絵を巻いて

誰もいない部屋を後にする

松岡さんのフォトブックからの数コマ
このカッティングシートを使ったウィンドー作品もそうですが、実にいろんな素材を使いますね。
アクリル絵の具で描く事が多いけど、昔から刺繍もやっていました。ミシンでガーッと縫う。他にも、お皿に描いたり、布を使ったり、その瞬間に僕が持てるものを使って作品を残しています。

最近新たに映像ディレクターの島田大介さん、ミュージシャンの明星(あけぼし)さんとの3人で「SOUMA」という名で活動を始められたそうですね。
3人で何か遊びのある真剣な事をしたいね、と話していたんです。2月22日にSuperdeluxで初めてやってみたんだけど、気持ちよかった~。

SOUMA(走馬) at Superdelux。準備中

松岡さんが二人!?実物(左)と、島田さんが撮った映像が重なる。

壁に投影された自分の上に絵を描いて行く

SOUMAのペインティングのディテール
事前に僕が描いてる所を島田さんが撮ってて、それを壁にプロジェクターで映しながら島田さんがそこに手を加えていく、僕が同じ服を着てさらにその投影されてる壁に描いていく。そこに明星の音楽が流れてきて、ジャズのセッションみたいにそれぞれが共鳴していたと思う。美しい時間でした。

松岡さんの今後の展望ってなんですか?
日本に限らず、いろんな所でもっといろんな人に出会って、おいしいビールを飲みながら絵を描かせてもらえる、そして少しづつでも出会いや規模が広がっていく。こういう毎日が描きながらずっと続けばいいなあ、と思っています。

絵を通じて、様々な人と出会い、またその出会いから絵が広がる。松岡さんに乾杯!
札幌や大阪などでも「Play Pray Paint」を企画中。DVDや本の出版予定。
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