日本の頭脳ゲームブーム

2006年1月30日 カテゴリー: テクノロジー, プロダクト, 国内

日本の頭脳ゲームブーム

川島教授が、あなたの脳年齢をテストする人気の「DSトレーニング」シリーズ

世界のテレビゲーム産業は、100億ドル産業とも言われている。という事は、全世界でハリウッドの映画産業よりも高額の収益をたたきだしているという事だ。ゲームは一大産業であり、常に変化を繰り返し、新しいトレンドを取り入れている。

現在日本は、多くの人が「テレビゲームのルネッサンス」と呼ぶ時期にさしかかっている。セールスチャートをにぎわすゲームは、古いゲームのリメークか、もしくはもっと昔流のシンプルで、多くの人が簡単にプレイできるようデザインされたスタイルのゲームが多くの割合を占める。今回、日本で人気急上昇中のシンプルな「IQ テスト」スタイルのゲームを見て行きたいと思う。この種類のゲームがこんなにも成功している理由はいったいなんなのか?

このトレンドを作り出したのは、ゲーム業界の巨人、任天堂だ。エレクトロニクスを応用した玩具で20年以上の歴史と経験を持つ彼らは、その経験を生かして新しいゲーム人口の開拓を効果的に行い、また「老舗」というイメージを利用して大人をターゲットにしたゲームの販売に乗り出した。この、シンプルでみんなが簡単に使えるゲームの流行をより分かりやすく説明するために、日本で人気のゲームと、ヨーロッパで人気のゲームを比較してみたいと思う。

2006年1月23日付、ヨーロッパのゲーム週間のトップ10 - 提供: The Magic Box.

2006年1月23日付、日本のゲーム週間トップ10 - 提供: 週刊ファミ通
© SUSUMU MATSUSHITA ENTERPRISE

ゲームに詳しくない人でも、タイトルを見れば、2つの全く違ったゲーム人口が存在する事が分かるだろう。例えばヨーロッパだが、現在人気のゲームに共通してよく見られるのは、強盗、拳銃、犯罪などの「大人っぽい」キーワードが含まれたものと、スポーツゲームなどの、これもまたどちらかというと大人をターゲットにしたものが人気を博している。

対して日本はというと、最近大きなパラダイム・シフトを経験した。今までも常に、ヨーロッパと日本のゲームの好みは少し違っていたものの、今では真逆になったと言っていい。


ニンテンドーDS

ゲームに挑戦するウレシカ

この立役者とも言えるのが任天堂だ。ダブルスクリーンで携帯できるゲーム機「ニンテンドーDS」が、日本のチャートを席巻している。このトップ10(PS2やXbox 360なども、もちろん含まれたチャートだが)のうちの見事9ゲームが、ニンテンドーDS専用のゲームとなっている。中でも特筆すべきなのは「DSトレーニング」が、トップ10に2タイトルもランクインしている所だ。最近リリースされた新しいバージョンと、昨年の5月にリリースされたオリジナルバージョンが、それそれ1位と4位につけており、日本で現在最も人気のあるゲームと言える。

「東北大学未来科学技術共同研究センター川島隆太教授監修 脳を鍛える大人のDSトレーニング」

カバーにも「大人の」と明記してあるように、このゲームは大人向けにマーケットされている。これは、アニメーションによるホスト、川島教授が指導する毎日の「トレーニング」ツールで、綿密に管理されたIQテストを通して、脳を鍛えてもっと賢くなろうと言うものだ。1つのセッションが終わると、テストの結果に基づいて、ゲームからあなたの脳年齢が言い渡される。

テストの内容はというと、気楽で純粋に楽しいものから、顔を真っ赤にするくらい難しいものまでさまざまだ。ここでいくつかテストの紹介をしてみたいと思う。

色の認識

黄色!(でも文字は「黒」と書いてある)

簡単そうに見える?ちょい待ち。このテストは色を認識するものだけど、ちょっとひねりが効かせてある。スクリーンに、色を表した文字がパッと現れるのだけれど、その文字は別の色で書かれている。そこで、あなたは例えば実際の色ではなくて、なんと書かれているかの方を素早く口に出して答えなくてはならない。DSにはマイクが内蔵されており、あなたの声を認識して採点をする。こうして見ていると簡単なようだけれども、ここで試して欲しい。今度は、文字ではなくて、何色で書かれているかを答えて欲しい。みどり, あお, あお, むらさき, みどり, きいろ。どう?思ったより難しいはず。

計算

死にものぐるいで計算しなきゃ

お次は計算問題。ひょっとしたら、思ったよりも出来なくてもっと恥ずかしい思いをしなちゃいけないかもしれない。そう、計算問題と言っても、スピーディーにこなしていかなくちゃいけないのだ。DS専用のペンでタッチスクリーンに直接答えを書き込んで行く。出来るだけ早く答えなくちゃ!

記憶

本気で難しい、記憶テスト

スクリーンに、ランダムな数字が4つ一瞬表示されて、白紙に戻る。そこで、こんどはスクリーン上の四角い箱に、さっき表れた数字の数の低い順から、箱をタッチして行かなくてはいけない。数字を見るのは本当に一瞬なので、箱の数が増えるほどどんどん難しくなる。箱は最高で10個まで増えるけど、あなたはついて行けるか?

さて、紹介したテストの内容はどれも楽しそうで、やってみたいと思った人も多いと思う。でも、なぜこれらのゲームがここまで人気なのか?ゲーム好きの友達に、意見を聞いてみることにした。

友人1
ただのテストという風にじゃなくて、定期的に使い続けると脳を活性化させて、回転が早くなるツールとしてうまくマーケティングされている。それに、マニュアルにも多くの図とか表が掲載されていて、続けるとこのくらいの成果が得られるという事が一目瞭然だからね。

友人2
これは特に新しいトレンドというわけじゃないよ。「脳を鍛える」とか、そういう関係の本は日本では昔から人気があったし…確かに最近はもっと人気だけど。それに日本人は、「体のためになる」とか「脳のためになる」とかそういった事にすごく興味があると思う。

友人3
私の考えだと、今の流行ってテレビから始まったと思う。IQサプリとか、サルヂエとかがすごく人気がでて、番組からもたくさんの本が出版されたし。でも、日本でこういう事が流行るのはいい事だと思うな。とくに、漢字とかの文字関係では、ね。

友人4
タッチスクリーンと、特にペンが人気の秘密じゃないかな?ペンで文字を書く事の方が、キーボードを叩いているよりも面白い。特に携帯のテンキーに慣れたあとではね。

京都の任天堂本社ビル。あんまり特徴的じゃない

それでは、任天堂が成功した秘密というのはなんだろう?まず第一に、任天堂は、国内のマーケットにすごく強い。こう感じる事もある。任天堂はひょっとしてとても日本的な会社じゃないかって。(これに関しては意見はいろいろあると思うけど、でも例をあげるなら任天堂の本社は東京じゃなくて、古都、京都にある) そして未だに、何よりもまずクオリティーの高い家庭向け娯楽製品を作る事に専念している。これを、例えば国内のライバル、ソニーと比較してみるととても違った印象を受けるし、まったく違ったスタイル/コンテンツを作り出しているように思える。

任天堂が切れ者だ、という事実以外で、以下のような事が任天堂と「頭脳ゲーム」を現在の成功に導いた要因ではないか、と僕は考える。そして、これらのレッスンは、デザイン業界の他の側面でも活用する事ができるのではないか。

  • 恐れずにオリジナリティを追求する
    DSの強みの一つは、他のシステムではプレイできない多くのゲームを擁することだ。DSの大きなライバルであるソニーの携帯型ゲーム機PlayStation Portableなどと比べてみると、PSPは他のシステムでもプレイできるゲームや、PSP用に改良されたものが多く存在する。

  • 新しいマーケットを作り出す
    「DSトレーニング」シリーズの成功に伴い、任天堂は、この携帯型ゲームのコンセプトを以前より広い層の観客に広めた。今では主婦や、定年を迎えた人々、おじいちゃんおばあちゃんまでがDSでゲームをしている。驚くほど高い売上数の秘密は単に人気のせいだけではなく、まったく新しい層の人間がゲームを買っているからだ。

  • 流行を見守る
    僕の知り合いの一人が上で述べているように、頭を駆使するクイズなどは、日本ではここしばらく流行となっていた。シリーズ物の続編を出したり、新たなロールプレイングゲームをすでにRPGの激戦区のマーケットに送り出すかわりに、任天堂は(過去のゲームの売上高や、人気作品を単に分析するだけでなく)もっと社会指向の方向で人々が欲しているものを観察し、そしてそれを反映させて新しいゲームを作り出した。

  • 自らのプラットフォームを有効に活用する
    ソニーのPSPに比べると、DSは比較的シンプルなシステムである。しかし、DSの革新的なタッチスクリーンは、もっとプレイヤーが体を使ってゲームに参加すること、そしてより複雑なインプット(例えば文字を書く事など)を可能にした。友人4が述べているように、DSのペンを使う事によって、複雑で、インタラクティブなコンピュータのテストが、よりゲーム感覚で楽しめるものへと変化している。ペンをどのように使うかという事は、みんなが日常生活ですでに理解していることである。このことによって、DSトレーニングゲームが、多くの人ーお年寄りにさえとっつきやすさを感じさせた事は想像に難くない。ゲームの映像や、音響などは簡単に変更する事が出来る。しかし、タッチスクリーンやペンのないゲームでは出来ない経験をDSではする事が出来るのだ。

ゲームの家族、写真:Mike Sheetal

さて、日本の頭脳ゲームブームについての考察を楽しんでくれたかな?任天堂は、DSトレーニングゲームを今年ヨーロッパで発売する予定があるという。タイトルは、”Prof. Kawashima’s Brain Training: How Old Is Your Brain?(川島教授の脳トレーニング:あなたの脳年齢はいくつ?)”だそうだ。みんな、ゲームを楽しんで!

3 コメント

  1. DSも頭脳ゲームも理解出来ていません。私が常々考えるに子育てとは夫婦(離婚する場合もあり)が人生を掛けた作品作りの様に思います。一例ですが下記にポイントを記載します。
    ・幼年期(親子の触合い・兄弟or姉妹・友達関係)
    ・少年期(親子の触合い・兄弟or姉妹・友達関係)
    ・思春期(親子の葛藤・友達関係・異性への好奇心 又 恋愛)
    ・青年期(恋愛・結婚・出産、子育て)
    私には、大学生の娘が一人います。私達の夫婦の接し方でなのか引っ込み事案で、おとなしく其れだけがが理由とは言いませんが、幼稚園から高校迄虐めの対象のようでした。幸いな事に道を逸れる事無く現在に至っています。それというのも、小学校に上がる2週間前に娘を可愛がってくれた祖母が他界、その有様を体験したからかも知れません。一人の人間として接し方・対応の仕方で、その後の人生を大きく変えてしまいます。スケールが余りにも大き過ぎるとは思いますが。検討していただけたら幸いです。

    Posted by: 三沢  彰 @ 5月7日2006年

  2. 善光寺にスプレーする行為は許せないです。

    Posted by: 善光寺 @ 3月22日2011年

  3. 日本の頭脳ゲームブーム good post943

    Posted by: air multiplier @ 4月21日2012年

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