
下北沢のドラえもんの店こと悪童処(わるがきさろん)は、デザイナーなら絶対一度は行ってみたいと思う夢のようなお店だ。下北沢といえば、初めて訪れた人がここで何かを探そうとするのはとても難しい。迷路のように入り組んだ裏通りが待ち受けているからだ。でも、冒険、発見、そして驚きに出会えるこの迷路こそが下北沢の魅力でもある。くねくね曲がった道の一つ、下北沢の西口から少し離れた場所で、この小さいがとてもファンキーなお店を見つける事が出来る。レアな人形、昔ながらの駄菓子、ステッカーにバッジ・・・何百という箱の山が、あなたに発見されて、ひっかきまわされるのを待っている!そしてこの場所こそが、ドラえもんおじさんの住処だ。彼の魔法のお店は、午後6時から夜中の3時までオープンしている!
作者:ウレシカ
訳:キョウコ

ドラえもんとその仲間が棚に並んでいる

お店の奥に座る東久条さん
お店のガラス戸には、お店の名前である悪童処(わるがきさろん)そして駄菓子と大きく書かれている。父親が70年以上も前に開店したというこのお店、ドラえもんおじさんこと東久条阿洞さんが新しい店主として引き継いだ。・・・もしかして、「新しい」オーナーという言い方は正しくないかも。だって、おじさんは、この店で暮らすために生まれて来たような人物だからだ。(そして実際に、ずっとここで暮らして来ているし。)彼が、父親のおもちゃのコレクションや駄菓子を売る傍らで、競馬にも情熱を燃やしているのは有名な話らしい。

コレクターカードのひとつ、ウルトラマン

昔ながらの駄菓子
私は旅をする前に、かならずこのお店に立ち寄って、駄菓子やおもちゃを買う事にしている。だって、みんなドラえもんおじさんのお店で買ったプレゼントに夢中になるからだ。そうそう、ステファン・サグマイスター(Stefan Sagmeister)のインタビューでNYを訪れたときも、ここでお土産を買った。その時、東久条阿洞さんは、ステファンに色紙を書いてくれた。(ここ)で、そのビデオを見る事が出来ます!)

ステファン・サグマイスター宛に色紙を書いているところ

ステファンへのお土産を袋につめているところ
今回この店を訪れたのは、別の任務があったからだ。ドイツ人イラストレーター meLove こと Sylが、彼女の絵本をドラえもんおじさんに渡して欲しいと送って来たからだ。彼女は以前東京を訪れたときに、おじさんのファンになった一人だ(私が連れて行ったんだけどね;-) )そんなわけで、おじさんのお店をせっかく訪れたから、ちょっと長居しておじさんと話をする事にした。

Sylの絵本を手にしたドラえもんおじさん

かわいいお菓子がお客さんを待っている
ドラえもんおじさんは、本当にフレンドリーでクレイジーな人だ。駄菓子屋で、またはブログを通して、別の仕事もやっているらしい。それにしても、彼の年齢でブログなんて・・・。本当に驚いた!
彼は・・・お店の店主そしてグラフィック・デザイナーそしてTVのライターそして写真家そして人生相談のアドバイザーそして競馬の勝ち馬を当てる、完璧な予想屋であるそうだ(彼が言うには、常に勝っているそうだ)。

ドラえもんのお店の事務所。スクリーンセーバーにも馬が!

東久条阿洞さんがデザインした馬のキャラ
正直言って、彼が言っている事がどこまで本当なのか私にははっきりしない。それは、しゃべっていて私が分からない日本語が幾つかあったからというのと、あと、すべてが「真実」である必要がないと思うからだ。第一、彼のお店の名前は「悪童処(わるがきさろん)である。彼がいたずら好きでもいいんじゃないかって気がする。

素敵な「梅ジャム」のパッケージ

シャボン玉セット
とにかく、馬のキャラクター達は実際にデザインしたと私は信じている。でも、何のためなのか、ちょっとはっきりしないけど・・・。(とにかく彼は、馬に関する事なら何でも大好きみたいだ。もちろん、競馬だとお金も重要な部分だけどね)
彼は、有名なテレビ学園ドラマ、「金八先生」の脚本にも関わっていたそうだ。
ところで、私がお店にいた時、他には、京都大学の学生さんが2人いた。彼女達が写真をやっていると聞くと、おじさんはいくつかの画像を取り出し始めた。

おもちゃのロボット。新宿都庁をバックに

東京上空を飛行するおもちゃの飛行機
「この写真家は」と彼は話はじめた、「ここにアドバイスをもらいにきたんですよ」と。当時、その写真家は、ヌードばかりを撮影していたという。「だから私は彼に言ったんですよ。ヌードをやめて、おもちゃにしたらって。その方がいいからって。ええと、彼の名前は思い出せないんだけど、今はそれで有名なはずですよ!」

写真家の写真を撮影する、京都大学の学生

おもちゃがつまった箱
女の子達は、その話を注意深く聞き、その男性の写真をカメラで撮影した後、おもちゃの列車をすぐ購入していた。なんとも、「優秀なセールスマンだな!」と私は思った。
これは事実なんだけど、私がおじさんに会いに行くと、いつも誰かがお店にいて、おじさんと話をしたり、アドバイスをもらったりしている。彼はよく、「日本も終わりだ。みんなが昔のいいものを忘れてしまった。」というような事を口にしている。彼が扱う、昔ながらのおもちゃや駄菓子も、みんなが忘れつつある古き良きものの一つなんだろう。

ドラえもんおじさんと箱

棚にずらっと並んだ宝の箱

昔のおしゃれカード

着せ替え人形
おじさんは、幾つかの箱をあけて父親が集めていたとうコレクションをみせてくれた。戦前のおもちゃに絵はがき、他にはアメリカ向けにつくられた「Made in Japan」のレアものなど。すべてが現在入手困難なものばかりだ。

とても古い絵はがき

昔の厚紙で出来たカード

新しいおしゃれバッジ、テキサス風

メタルバッジ、日本風
「悪童処」を訪れる人はみんな、ひとつうなずくといくつかの駄菓子を買って、満足げな笑みを浮かべながら店を後にする。おじさんは、みんなをハッピーにする才能があるんだ!
そうそう、おじさんのもう一つの情熱、競馬についてだけど・・・彼は送金表の束(多分・・・)を見せてくれた。彼がいつも勝つというので、代わりに賭けてくれと送られて来たものだそうだ。彼の必勝法については記事になった事もあり、またお店のドアにはA4サイズの紙で、次回のレースでどの馬が勝ちそうか、という予想まで貼ってある。彼がどうやって勝つのか、私はまったく分からないが、彼の話を聞くのはとても面白かった。

写真を見てわかるように、すこし古いものだが、競馬雑誌に掲載された彼についての記事。

彼がいうには、この送金表は「代わりに賭けて欲しい」と人々から送られてきたらしい」
ドラえもんおじさんは、とにかく面白い人で、彼は日本のキャラクターについて、すべてを教えてくれる。例えば、どちらのキャラクターが先にデザインされたとか、どうやって今の形になったかなどだ。(そうそう、ドラえもんが何故青くなって、耳をなくしたかなんて事も教えてくれたな。)

ドラえもんカラオケ

ドラえもんにドラミちゃん達
この店は、とにかくデザイン好きにはたまらない店だ。何百と言う箱には、何十年にも及ぶおもちゃと楽しみが詰まっている。
このかわいらしいコ達、全員分かる?

昔の箱をあけて楽しむ

たくさんの有名なキャラクター達
あと、黒いキューピーなんて見た事ある?とにかくたくさんいるので、何度もこのコたちをアレンジして、写真を撮ろうと試みたと東久条さんは言っていた。だけど、キューピーやドラえもんの軍団をながめていると、なんだか「気持ち悪く」なってきて出来ないでいるそうだ。

いろんなスタイルのキューピー達

キューピー軍団
私達は、何時間も一緒に座って、たくさんの箱に目を通した。こんな風にユニークなお店がたくさんある下北沢を私がどれほど愛している事か!(そうそう、下北沢に行きたい人、急いだ方がいいですよ!下北エリアに高速道路を通すという計画があるらしく、実現したら、この町の魅力もお店も、過去の物になってしまうんだから。でも、その変化も日本っぽいといえばぽいんだけど・・・)

昔のプロレスカード

牛乳のフタに描かれたキャラ
他にもたくさんの写真があるので、興味のある人はこちらの Flickr galleryへどうぞ!または、実際にドラえもんの店に行ってみてね。

東久条さんにさよならを言う

ゴジラにブースカ
東久条阿洞さん、またまた素敵な一日をありがとう!
6 コメント
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[...] 楽しいことやちょっとヘンな事をして、それがお仕事になるんだからPingMagの環境って恵まれてると思う。だって、鳶の衣装に金色の足袋をはいて、街中で写真撮影をしても、評判の英国人デザイナー に日本の小さな村に建築予定のお寺についてインタビューしても、駄菓子屋さんに遊びにいっても、なにをしても評判になっちゃうんだからな〜。(…なんていうのはウソだけど、すくなくとも僕らは勝手にクール!って思ってる) [...]
Posted by: PingMag - 東京発 「デザイン&ものづくり」 マガジン » Archive » Pingケーキが出来るまで @ 1月19日2006年
[...] 気になったこともひとつあった。中国の雑誌 360˚ は、ちょっとやり過ぎたみたいなんだ。僕らの書いたドラえもんの店 の記事を、僕らに内緒で雑誌に載せちゃったんだよ。ひどいじゃないか!ひどいだろ? [...]
Posted by: PingMag - 東京発 「デザイン&ものづくり」 マガジン » Archive » PingMag Pingback Vol.2 @ 3月13日2006年
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