
建築界、インテリアデザイン界のスーパースター、そして「ぺちゃくちゃないと」を世に送り出した張本人でもあるクライン・ダイサム・アーキテクツ(KDa)のアストリッド・クライン(Astrid Klein)とマーク・ダイサム(Mark Dytham)が、今夜のpingSeminarのゲストです!アストリッドとマークのお二人は、1989年に伊東豊雄建築設計事務所に入ったことをきっかけに日本が好きになり、本格的に日本に住むように。今日はどんな話を聞かせてくれるのか、とても楽しみです。では、よろしくお願いします。
eats meets wets(楽しく食べたり飲んだりして、楽しい事と出会おう!)
“east meets west” - 「東洋と西洋の文化が出会う事」のもじり
日本に来てすぐの頃、タクシーの中にキャンディーがおいてあったり、宣伝がはってあったり、テレビがあったりと、とにかくにぎやかでびっくりしました。でも、日本の人にとっては、それが当たり前の事だから、見えていなかったりすると思うんです。自分のバックグラウンドは違う所から来ているので、いろんなことに驚く機会がとても多かったですね。まさに、east meets westです。でも、それをちょっともじって、”eats meets wets”—つまり、楽しく食べたり飲んだりして、楽しい事と出会おう!という事をモットーにしているんですけど。
とにかく、違う文化出身だからこその、そういった驚きにちょっとひねりをきかせて、作品に反映させたいと思うようになりましたね。たしかに、ずっと日本にいると慣れてきてしまうので、いろんな所に旅行にいったりして、新鮮な気持ちを保つようにしています。
改めて、物事を違った視点で見る事ができるようになるので、旅は大事ですね。

our OLD art space: deluxe
元の事務所「デラックス(deluxe)」の写真です。倉庫を改造したスぺースを事務所にしていました。面白い事をやろうと思っていたので、写真を見てもらえば分かるように、女性が天井から釣られた風呂のような箱に入っています(お湯のかわりに、白い羽で満たされていた)。ここの下で普通に打ち合わせを行ったりしていたので、来た人にぎょっとされたりしました。アートのインスタレーションとしてだったのですが、「この人達に、建築をまかせて大丈夫かな・・・」って感じに思われたり(笑い)
いろんな人との出会いが大事だと思っていたので、事務所にいろんな人を招いたりもしました。自分の中にある境界線を消すために、いろんなクリエイティブな人と日常的に話を聞いたりするような事もはじめました。周りの人が何をやってるのかを見て、刺激を受けたり・・・。クロスオーバーっていうか、枠組みを取り除きたいというか。
この事務所では展示会も行いました。自分の作品や、他のアーティストの作品、例えば、生意気の作品なども展示しました。TOMATOとのワークショップも行いました。

このような事を繰り返すうちに、自分たちの事務所でやるには、ちょっと限界を感じ始めたんです。3年ぐらい前の事ですが、会社もどんどん大きくなるし、毎週イベントも行うしということが、だんだんプレッシャーになってきて・・・。その時に、Deluxeのアネックスを造ろうというはなしになったんです。
例えば、イベントを行って、400名のゲストがきて、盛り上がってとても楽しいのに、次の日に、大事なクライアントとのミーティングがあったりすると、部屋がタバコくさかったりして・・・(苦笑)。
そんな事もあって、SuperDeluxeを六本木に開くことになったんです。(事務所とは別に)
SuperDeluxeでは現在、毎月25〜30のイベントが行われていますが、銀行員の方の打ち上げから、ミス・ユニバースのショー、ぺちゃくちゃないとなど、ジャンルを問わずたくさんのイベントが盛りだくさんです。

ぺちゃくちゃないとのコンセプトというのは、誰でも参加できて、一人20枚のスライドを20秒間ずつプレゼン出来るというものです。有名な人じゃなくても、デザイナーやアーティストじゃなくても、個人的な、たとえば旅の感想など、カジュアルに、発表できる場にしたいと思っています。
それこそ、クロスオーバーというか、とにかく何か伝えたい事がある人なら誰でも参加できます。言葉も英語でも、日本語でもかまいません。
今、ロンドンでもぺちゃくちゃないとが開かれるようになりました。
ロンドンでも大学時代からの友達が多いので、その友達を呼んで、今何をやっているか、とかプレゼンしてもらったら、友達の近況も分かるし、一石二鳥だな、なんて思ったり(笑い)とにかく、これから毎月行われるようになりました。

ロンドンの建築大学(Architectural Association School of Architecture) ロンドンの建築大学で行われた展示会の写真です。日本の銭湯のような部屋に、マックが設置されている・・説明するまでもないとおもいますけど、”east meets west”ですね。
ここのギャラリーでの建築学生の展示がいつも、とてもつまらないな、と感じていました。ここのギュラリーは、左右対象のとても均整のとれたスペースなんです。なので、そのシンメトリカルな部屋を利用して、右は女性、左は男性、中央には番台という銭湯をデザインしました。入り口では、ちゃんと靴も脱いでもらったりしました。
洗い場では、鏡のかわりにマックが置かれて、シャワーはステレオになっていたので、ここで私達の作品を見たり、説明を聞くことができました。お風呂場の方でも、壁に大きく私達の建築作品がプロジェクションされ、風呂につかりながら(実際にはお湯は入っていない)鑑賞する事ができたんです。
KDa(クライン・ダイサム・アーキテクツ)は、楽しむこと、日常からインスピレーションを得る事を目指しています。やっぱり、楽しまないと仕事もうまくいかないと思うし、自分が楽しまないと、人の事も楽しませられないと思うからです・・・。
これが私たちの哲学かも・・・いや、哲学がないのが、私たちの哲学かな?

私達がつくったものを見て、人がニコッとしてくれるようなものをつくりたいです。家に帰ってから家族に、「今日こんなものみたよ!」って思い出になるような作品を作りたいですね。お金儲けというか、心が豊かになるような作品を。
あと、作品も毎回新しいものを作って行きたい!毎回がチャレンジです。それぞれのものに、カスタムメイドな作品を作りたいし、毎回ユニークなものを作りたいですね。
「仕事」という事ではなく、面白い人との出会い、みたいな仕事の仕方が理想です。
年をとった時に、1997年くらいに、こんな事あったよね、って思い出にのこるような事をやっていきたい。作品は残らないかもしれないけど、体験が記憶に残るようなプロジェクトをやりたいです。
問題点にぶちあたったら、チャンスだと思うようにしてる。今までやったことないことにチャンレンジできるわけですから。そんな姿勢でやっています。

作品紹介としては、じゃあ、リゾナーレという山梨にあるリゾートの、ウェディング・チャペルの話をしましょうか。
この話は、星野さん(星野リゾートの星野佳路氏)から依頼されました。星野さんに会ったときに、「ウェディング・チャペルはやったことがありますか?」と聞かれたので、「ありません」と答えました。そしたら、「それはいい!」って(笑い)。それで決まったんです。
リゾナーレは自然にあふれる所にありますが、このガーデン・チャペルは、はっぱの形をモチーフにしています。葉の静脈模様と、ガラスの部分は、虫に食べられた穴、ですね。

レースのような白い屋根は、開閉可能なんですよ。花嫁さんのベールのようなコンセプトでした。ベールをあげて、花婿さんがキスする感じです。軽やかな見た目とは違って、このベールは、12トンもの重さがあります!
ベールの〔レースのような部分)は、光の入り方によって、(時間によって)光が面白い模様をみせてくれます。
また、イスと床は黒にしましたが、それは、花嫁の白いドレスを際立たせるためと、男性が同じような黒のスーツを着ているので、それを全部溶かして目立たなくさせるためです(笑い)
このチャペルは、昼も夜も使われているので、夜もライトアップされて、素敵な雰囲気になります。

いろんな人との出会いを楽しみにしていると先程いいましたが、これもその一つです。秋田の工場でスチールのベールを作りにいった際の写真です。工場に行くのは楽しいものです。
この写真(9枚目、右側)は、工場でスチールにカーブを付けている所ですね。穴もここであけたのですが、コンピュータのデータに従って、正確な場所にあけられています。
屋根の開閉は難しいいんじゃないか、と最初考えていたんですが、エンジニアを担当してくれた川崎重工の人が、開閉は出来ますよ、とあっさり承諾してくれたんです。
秋田の工場から実際に山梨まで運んで、組み立てた時の写真(9枚目、左側)です。マークは、ベールが開閉する事に感動して、ワーッと騒いでいたんですけど、はしゃいでいたのは、彼一人でした(笑い)川崎重工の人は、「あたりまえ」という感じで全然興味をしめさず、黙々と作業してます(笑い)

このウェディング・チャペルは週末8〜9組の結婚式に利用されていて、すごく混雑しているそうです。結婚式がないときは、コンサートなどのイベントが行われています。十字架もないし、宗教とは関係なく、いろんなイベントが行われていますね。マークの40回目の誕生日もここで行いました。
星野さんが、このチャペルをすごくよろこんでくれて、そのあと10個くらいの大小プロジェクトの話がきました。そのなかの大きいものが、同じ場所でのパーティー会場建設の話です。
50人ほどを招く事ができる、パーティー会場です(写真、10枚目)。チャペルの場所で結婚式をあげたあと、パーティー会場が必要になったという事もあり、建てる話になりました。森の中につき出していますね。
長いテーブルが部屋の真ん中に設置されていますが、一番前に花嫁花婿が座るので、そちら側の机が、膨らんでいます。下座のほうが、机の幅が狭い。上座の幅が広くなってます。というのも、直線だと下座の人が、上座をのぞき込まなくてはいけなくなるので・・・。
星野さんは、すごくカジュアルな人で、プレゼンも、「いいね」で簡単に決まってしまいました。

リゾナーレには、もともと和食と中華のレストランがあったんですが、ちょっと他の建物と雰囲気とあわなかった。そこで、デザインを変えることになりました。
この辺りは、乗馬で有名な所だったので、乗馬というと、私は焼きごてを連想するんですが、それで、実際に、葉っぱのもようの焼きごてを作って、床板に葉っぱの模様を焼き付けました。
カフェと本屋などのデザインも担当しましたよ。この本屋さんには、お客さんだけじゃなくて、地元の人も来るようになった。本のセレクションもいいです。来年は、そこに温浴施設が出来ます。

プロジェクトをやるときは、なによりも内容を重視します。中身があるからこその美しさを、と考えています。あんまりスタイリッシュすぎるのも、考えものだなと思います。
時間が来てしまいましたね、終わりです!次のぺちゃくちゃないと(vol.27)は、スーパーデラックス(SuperDeluxe)で10月26日開催です。他にも、スーパーデラックスではいろんなイベントが目白押しなので、ぜひ遊びに来て下さい。
マーク、アストリッド、今日は本当に楽しい話をありがとうございました! kdaseminar.jpg seminarname=KDa
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