先週の水曜日(9/28)、D-秋葉原テンポラリーで行われたギャラリートークに行ってきた。現在開催中の「スモール&ビューティフル展:スイス・デザインの現在」のキュレーター達が、スイスのデザインについて語るというイベントだ。
廃校になった中学校を利用した、期間限定のミュージアム「D-秋葉原テンポラリー」。中学校卒業から十ウン年、なんだか甘酸っぱいきもちで正門をくぐった。でも、中学生時代からまったく成長していない私は、もういい大人なのにまさかの大遅刻。烈火の如く走って会場入り。でも、教室で待ち受けていたのは、意地悪な生活指導担当じゃなくて、穏やかなプレゼンターの方々だった。
ステージにプレゼンターが、観客席には聴衆が、というような「講演会」スタイルを想像して行った私だったけど、その予想はいい意味で大いに裏切られた。実際には約30名ほどのこじんまりした聴衆にプレゼンター5名(モデレーターの三宅理一教授をいれて6名)という少人数制。展示会場を歩いて回りながら、目の前で直々にデザインやその背景についての説明が聞けるという贅沢な授業となった。
スイスのデザイン誌「ホッホ・パルテール」の編集長ケービ・ガンテンバインと、建築雑誌「ヴェリク・バウエン・ウント・ヴォーネン」の編集者でインダストリアルデザイナーでもあるアリアナ・プラーダル(Ariana Pradal)が中心になり進められたギャラリートーク。スイス社会の特徴として、「国民の大部分が中流階級で国が豊である事」「伝統を重んじるのと同時に現代的でもある事(海外からの移住者が多く、4ヵ国語が話されるなど文化が多様性を見せている)」「観光が大きな産業である事(アルプスやハイジなどのステレオタイプが存在する)」などが挙げられ、その背景をふまえながら、各デザインに解説が加えられた。
スイスと聞いて、一番に思い浮かんだのは、アーミーナイフとスウォッチという私だったけど、今回展示会場を眺めていると、「へー、これもスイスデザインだったのか」と知らずに愛用していたものがいくつもあった。例えば、バーミックス。お世話になってます。他にもキャラクターのピングー、キックボードにフライターグのカバン。どれもこれも、日常生活で目にするものばかり。そうか、スイス・デザインだったのか!
最後に場所を移動して、テーブルを囲んでのディスカッションがあった。その場で、イメージソースのトムとプロ・へルヴェティア文化財団のレグラ・ケーニッヒから、とても面白い指摘があった。それは、スイスのプロダクトに時折国旗(赤地に白の十字)が使われている事についてで、これは「伝統を重んじる気風と、スイス人である事を誇りに思っての事か?」との質問がなされた。
そういえば、確かにスウォッチにも赤地に白い十字マークがついている。でも、日本で「日の丸」がついた製品は見た事がないな。それに対してケービさんからは、「スイスは小さい国にも関わらず、4カ国語を使うなど様々な文化的背景があります。なので国旗はそのバラバラなものを結びつける「約束事」のようなものです。また、観光が大きな産業なので、国旗をデザインの一部として使う事はマーケティング戦略と言えるでしょう」という説明があり、とても興味深かった。
久々の中学校での授業はとても楽しいものになった。みなさんも身の回りのスイス・デザインを探してみては?
スモール&ビューティフル:スイス・デザインの現在
2005年9月27日(火)〜10月23日(日)
会場:D-秋葉原テンポラリー(旧錬成中学校)
作者:キョウコ

「スモール&ビューティフル展:スイス・デザインの現在」ポスター

スイスのデザインを説明するケービ・ガンテンバインさん

熱心に耳を傾ける参加者達

終始明るい笑顔を振りまいていたアリアナ・プラダルさんと、モデレーターの三宅理一教授

愛弟子(?)のアリアナさんの説明を聞きながら微笑むケービさん。とてもチャーミングな人

スイスならではのデザイン。スキー靴やセントバーナード犬

ロングセラーを続ける家具達

展示室からレクチャールームに移動。テーブルを囲んでのディスカッションへ(元学校というのがよく伝わる部屋)

イメージソースのトムと、デザイナーのフレデリック・ドドレーさん(右)

アリアナさんがトークの題材に選んだit デザイン社のイス「it ペット バッダ(it PET BADDHA)」

どのように「it ペット バッダ」使うかデモンストレーション

ケービさんと話をするプロ・ヘルヴェティア文化財団のレグラ・ケーニッヒさん(左)
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