
リトルモアという名前を、聞いた事がある人は多いと思う。それは、雑誌のタイトルとしてだったり、出版社名としてだったり、はたまた、好きな映画の配給元だった、という人までいるだろう。もともと出版社としてスタートしたリトルモアだが、現在は出版関係の仕事だけでなく、レコード会社経営、映画の製作と、活動の場を広げている。そんなリトルモアにお邪魔して、社長の孫家邦氏にお話を伺った。
インタビュー:ウレシカ&キョウコ
まず、何名所属されているのか聞かせてください。
ここに17人と、別会社である音楽(トラクターエンタテインメント)に2人、かな。だいたい、組織をやるときに、20人以下でやりたい、と思ってます。それには理由があって、一緒にものを作っていこう、というときに、まあ、20人以上でも名前くらいは覚えられるけど、「この人の嫌いな食べ物は」とか、「趣味は何」とか、一緒に働く上で知っておきたい情報がちゃんと覚えられるのは、せいぜい20人以下でしょ?もちろん、会社だから利益を追求するために集団としてあるんだけど、一緒に生きているんだから、ちゃんとした家族でありたいと思いますよね。

リトルモア社内の様子

社内の様子
アート本や、写真集などを出版する際に、どのアーティストにしようか、というのはどなたが決めているんですか?
編集者が6人いるんだけど、「絶対に私が責任をもってやります」「やらしてくれ」といったら、オッケー出す。会議をして、あれはどうだ、これはどうだっていうのは一切なし。そのかわり、その一人の編集者は、赤字だしたら会社辞めるくらいの覚悟でやらないといけない。
自由だけれど、責任も重いという事ですね。では、逆に、アーティストの側から、「出版して欲しい」というアプローチはないんですか?
それも、たくさんありますよ。すでに有名な人から、コンタクトしてくる場合もあるし、無名の人間から作品が送られてくる場合もある。でも、どんな相手にせよ、有名無名関係なく絶対全部ちゃんと見てますよ。
扱うアーティストは日本人が多いようですが?
最近海外の人も増えてきましたよ。それに、今はインターネットもあるからね。ネットを通して連絡がある事も多いですよ。ただ、コンピュータ上では、なかなかクオリティが分かりませんけどね。

孫家邦社長

作業中のスタッフ
前社長の竹井正和氏が、リトルモアを退社されて、フォイルを設立されましたよね?
FOILっていう雑誌は竹井がやりたかった事なんですよね。彼は、1人のアーティストと出会ったら、その人ととことんやりたい、っていうのがあって、例えば、川内倫子ですけど。アートマネジメントまで含めてやりたいという気持ちが出てきた。だから、いろんな本を出す事に対して苦痛があった。でも僕にとって出版社は、もっと「広場」みたいに誰でも出入りできるものにしたい。だから、「今いいチャンスだから、おまえ独立したらどうや?」って言ったんです。それで分かれたんですよ。
リトルモアでは、雑誌、本の出版だけでなく、レコード会社、映画製作、と、小さい会社ながら幅広く活動されていますよね?どうやって、マネージメントされているんですか?
マネージメントなんてやってないけどな(笑)やりたい事をやってるだけですね。音楽やりたいやつがいれば、音楽やればいい。ただ、そこにはプロフェッショナルの壁があるから、一個やるごとにやっぱり勉強しますよね。僕はね、なんでもやれるようになりたい。田舎なんかの万屋(よろずや)にね。理想としては、小説をだして、それを元に映画をだして、その時の主演の女の子が我々のスタッフで、それで衣装はうちが出資してる「シアタープロダクツ(THEATRE PRODUCTS)」っていう服屋が、宣伝もうちが出資してる「ミラクルボイス」(miracle VOiCE)が担当する。その女の子が歌を歌うときはトラクターレコードでレコードがでて、そんな感じで自分たちの家族だけで、全部のメディアミックスがいつか出来るだろうと思う。

今までに公開された映画のリール

トラクターエンタテインメントの藤田充彦氏
現在も、それに近い事が実現できてるんではありませんか?
まだこわごわなんです。やっぱりリスクが5倍6倍になるでしょ?いつか一人の女神のような女の子が天から降ってくるんだと思うんだ。この女の子が軸になって、全部が動き出すような気がします。
今までお話を伺っていると、すごく順調に聞こえるんですが、失敗談とかはありますか?
そんなん失敗の連続ですよ!ギャラリーだって、そうだし。(リトルモア・ギャラリーは、2005年5月8日に閉鎖)最近すごく感じているんだけど、本当に本が売れないんですよ。
それはいつ頃からですか?
年々ですね。特に去年からは。日本だけじゃないと思いますよ。やっぱりインターネットとか、今世界ではものすごい事が起こってるんですよ。だめなものは生き残れないね。
でも、それも飽和状態になって、逆にコンピュータ離れを起こす人も出てくると思いませんか?
(笑)いや〜、ないな。本も、雑誌も本当に売れない。なんていうか、今のポップスと同じだな。ベスト10にはいるようなものは、それこそどんどん売れるけど、それ以下は全く売れない。昔は、この波をもっとなだらかだったけど、今は極端だね。

「BROOCHブローチ」
絵:渡邉良重 文:内田也哉子

「BROOCH」
オンラインマガジンの仕事をしていてこういうのもなんですが、本や雑誌の紙媒体が好きなんです。例えば、この本「ブローチ(BROOCH)」。薄紙で次のページが透けて見えるような仕組みになっていますが、これはコンピュータでは出来ない。似たような事はアニメーションを使って出来るかもしれませんが、ベストはやっぱり紙ですよね。ページをめくるのがすごく楽しい。
(笑)がんばります。実際「BROOCH」は今すごく売れていますね。今からは紙の本でしか出来ない事をどんどんやらないといけない。ウェブでみる方が、いいものもたくさんある。そういう風に分かれてくると思いますね。
リトルモアの本は、海外でもよく目にしていました。海外ではどんな本が売れてますか?
アジアだと奈良美智で、特に香港とかすごいね。アメリカだとストリート系、グラフィティ系かな。最近は「NAMI」と「BROOCH」をヨーロッパで出しましたね。BROOCHを英語で出すプランがあります。多分、この本は日本人でなくても分かると思うので。

梶井照陰写真集 「NAMI」

「NAMI」
今後の予定を聞かせてください。
リトルモアギャラリーのかわりに、ここの地下であたらしい事をやろうと思ってるんですよ。実は、今日も写真家の大森克己さんのワークショップがあるし。あと、7月15日〜8月7日には、管野ぱんだ写真展「パンダちゃん」があります。このイベントあたりから、少しずつやっていきたいですね。このリトルモア地下はギャラリーとして展示会やったり、ライブやったり、舞台やったり、いろんな事を出来るようにしたいです。それから音楽では、9月7日に「ニシヘヒガシヘ」というCDが出ます。
アンチェインナイン・ソウルズの豊田利晃監督の映画がもうすぐ公開になると聞きましたが?

本田祐也『ニシヘヒガシヘ』
レーベル:リトルモア・レコーズ
2005年9月7日発売

映画『空中庭園』(監督:豊田利晃)
2005年10月よりテアトル新宿、ユーロスペース他にて公開
小泉今日子さん主演の「空中庭園」は10月から公開です。それと、11月から豊田の新作の製作に入ります。まだ、詳しくは言えないけど、若手オールスター出演って感じになると思います。
楽しみです。今日はありがとうございました。
3 コメント
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リトルモアという会社に興味があります。
Posted by: 臼井正己 @ 12月24日2006年
間違ってたらごめんなさい。孫さんは、豊中市立原田小学校に通っていませんでしたか?同級生に同姓同名の方がいたので・・。
Posted by: 福岡そうこ @ 6月20日2011年
リトルモア:なんでも屋さん good post868
Posted by: air multiplier @ 4月21日2012年