
現在、「日本におけるドイツ年2005/2006」の一環として、ビヨルン・メルフス展「イースタン・ウェスタン・パーク」が東京、青山のスパイラルガーデンで行われている。ビヨルン・メルフス は、ノルウェー系ドイツ人のメディア・アーティスト。彼の作品は、テレビ文化や消費者指向に対して、批判的な視点を提示している。テレビにおけるアメリカの錯覚(幻想)世界を分析している彼は、私達の多くが、望むと望まざるとに関わらず、アメリカ発信のメディアから影響を受けていると言う。
インタビュー:ウレシカ
訳:キョウコ
では、まず展覧会のコンセプトを教えてください。ドイツについての作品を作るということでなにか苦労はありましたか?
この展覧会は、「イースタン・ウェスタン・パーク」というタイトルで、西洋と東洋の両方を部外者の視点から見ているんだ。
このスパイラルという会場は、作品を展示するのにすごく難しい空間だった。というのも、西洋では、ふつうアート作品が展示されてる場所は、その作品を見たいという観客が、その作品を見るためだけに行くものだろう。でも、ここスバイラルでは、アートは「ちょっとしたティータイムのおとも」って感じでケーキをたべながら消費されかねない。(ここ、スパイラルガーデンはカフェが隣接している)これは、僕にとってはまったくの新しい考え方だった。だから、このスペースに合うように、自分の作品を調整しなくちゃならなかったんだ。それに、いつもは「言葉」や「会話」は僕の作品のなかでは大事な要素なんだけど、今回日本の観客にむけて、それを最小限に抑えなくてはならなかった。つまり、(スペースにも)観客にも合わせて作品を調節しなくちゃならなかったんだ。その結果、とてもシンプルで、目を引く展示になったんだ、まるで、ビルボードみたいにね。それから、もう一つ、僕にとって珍しい経験があった。それは、いままで一度も挑戦した事がなかった、ドイツをテーマに作品を作ったことだ。この特別な環境にぴったりで、僕が表現すべきアイデアを見つけるのに、時間がかかったね。
この展覧会でのメインとなった作品といえは、カウボーイとインディアン、そして日本の女子高生からなる一連の巨大なプロジェクションでした。私たちは、このキャラクターたちをどのように理解すればいいですか?また、どう「ドイツ」というテーマに関係しているのでしょうか?

「イースタン・ウェスタン・パーク」より

「イースタン・ウェスタン・パーク」より
1900年頃から、ほとんどのドイツ人はベストセラー作家カール・マイ(Karl May)の作品を読んで大きくなったんだ。もちろん、僕の世代も、アメリカ西部を舞台にした有名な物語を全部テレビで見たものさ。一番有名な「ヴィネトウ」は、心正しく賢いインディアン、ヴィネトウと、彼の友人である白人のカウボーイ、オールド・シャッターハントの友情についてだけど、彼らはアメリカの大西部を馬で駆けに駆けて、正義のために戦うんだ。この展覧会「イースタン・ウェスタン・パーク」に彼らのキャラクターを選んだことは、ドイツで子供時代に見たテレビの思い出と、ぼくがいつも扱うアメリカをテーマにした作品のつながりを表現してるからってだけじゃない。この選択は、日本についての作品を僕がどうやって作りあげたか、という事のメタファーとしても機能してると思う。カール・マイは、ドイツをまったく出ずに、かの有名な遠い国のお話を書いたんだよ。全部まったくの純粋なイマジネーションで、すべてはクリシェと誰かから聞いた情報に基づいてたんだよ。(だからこう言えるんじゃないかな)彼はアメリカについて知っていた、僕が日本について知っているくらいはね。
では、アメリカと日本の2カ国についての無遠慮で、明らかに誤ったイメージを作り上げる事でどういった感情を引き出そうとしてるんですか?
僕にとって、日本を理解しようと努力する事は無意味な事だと思う。なぜなら結局、理解出来ないからさ。日本を観察して、何かを読み取ることはできる。でも、別の文化を理解する事は…特に、西洋のカルチャーからはかけ離れてる東洋の文化の場合、そこに長い事住むとかしないかぎり、不可能だよ。それに、そこまでしも、まだ難しいものだよ。海外から日本の事を考えるとき、ある種のイメージが浮かぶと思う、例えば、女学生とかサクラとか。日本の事を知らない人が、「日本ってこんな感じに違いない」と想像するようなイメージってあるだろう?でももし、日本にいて、その文化を理解していたら、そんなイメージ(クリシェ)は無礼で表面的でなんて薄っぺらいんだろうって思うはずだよ。問題は、「じゃあ、これがクリシェだとしたら、本当の姿ってなんだろう?」という事なんだ。もし、こんな疑問が浮かんだら、もし、こんな会話が生まれたら、僕の作品は成功したと言えるんだ。
なぜクリシェとして女子高生を使ったんですか?
彼女は物語の主人公なのさ、いつものようにね。でも、僕が女学生の格好をしたら、すごく気持ち悪いものになってしまったよ。まるで、すべてが、シュールなテーマパークみたいになってしまって…。この女子高生は、観客に向かってペコペコ挨拶してるけど(女学生が、観客にむかって、お辞儀をしている作品がある)、僕は作品で、こういう要素を使う事が好きなのさ。映画の中では、俳優が互いを見合って演技して、カメラを直視するのを避けるけど、テレビ番組だと、司会者はカメラを直視して僕らに直接しゃべりかけるよね。それと同じさ。

「イースタン・ウェスタン・パーク」より

「イースタン・ウェスタン・パーク」より
テントの中には何があるんですか?
テントは「イースタン・ウェスタン・パーク」のアイデアとも関係があるんだ。テントは竹の棒と銀のホイルで出来ている。内側は、光と音のインスタレーションで、モノクロテレビがドイツ語、英語、日本語のサウンド・サンプルに合わせてチカチカ点滅しているんだ。ここテントでも、カール・マイの物語とアメリカへの間違ったクリシェ的なイメージについて触れているんだ。ドイツ人の(フロンティア時代の)アメリカ西部へのイメージは、日本へのクリシェと同じくらい誤っているってこと。

「イースタン・ウェスタン・パーク」より

「イースタン・ウェスタン・パーク」より
モノクロテレビのアイデアの背景にあるのもは何ですか?
僕が子供の頃、ドイツではたったの3チャンネルしかなかった。僕らは高いビルが密集した地域に昔住んでいてね。夜になると外に出て、窓の明かりが同じタイミングで変わるのを見たものだったよー同じ番組を見ていた人がたくさんいたからね。もし、テレビでサッカーの試合がやっていたら、ビル全体の明かりがいっせいに変わったんだ。
テントの中では、モノクロテレビのモニターによって、明かりとムードが変わるよね。子供時代に経験したのと同じアイデアに基づいて、テレビというものを抽象的に表現してみたんだ。
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Posted by: 匿名 @ 12月31日2007年